直ぐに玄関から戻って来たカナは、僕の隣に腰掛け膝を抱えた。
ついさっき大声で笑った人とは全く別人の様に、暗く寂しげな雰囲気を身に纏っていた。
僕はカナの膝に擦り寄る様にして、顔を覗き込んだ。
「ダイ…」
カナの左手が僕の頭に乗せられ、僕は目を細めた。
「ダイ…」
カナの手が小刻みに震え、目の前の茶色いフローリングの床に水滴がポツリポツリと落ちた。
驚いて見上げると、その水滴は、床に落ちる音がするくらい大粒の涙だった。
「きゅーん」
(どうしたの?)
心配する僕をギュッと引き寄せると、涙でクシャクシャになった顔を向けて無理矢理笑った。
「ダイは…優しいね」
そう言うと、今度は抱えた膝に顔を埋めて、部屋に響き渡る位の大声で泣いた。
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