「――…ダイ。
ダイにしよう!!」
彼女の横に座っていた僕は突然隣で大声を出されて驚き、反射的に耳を立て周囲を見回した。
彼女はそんな僕にはお構い無く、寝転んだままで僕を持ち上げると、笑顔で僕を見詰めた。
「私はカナって言うの。これからよろしくね!!」
カナ…
カナが今日から、僕の飼い主になったみたいだ。
「きゅーん」
(よろしくね)
僕はカナに挨拶をして、自分の鼻をペロリと舐めた。
「あはは!!」
カナは初めて明るい大声で笑うと、勢いよく上半身を起こし僕を強く抱き締めた。
僕も何も食べていなかったから痩せ細っていたけど、カナも僕と変わらない程にやつれていた。
相変わらず手は冷たくて、擦り寄せる頬は僕の体温で辛うじて温かくなった。
玄関に僕のトイレを作る後ろ姿を見ながら、その理由を考えていた…
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