「おい長谷川、授業始めるぞ!!」
少し離れた場所から先生の声がして、ハッと我に返った。
慌てて教室に入ろうとしたが、さっきの会話を思い出して足が止まる…
この教室の中に俺はいるべき人間ではない事を、たった今知らされてしまったのだから。
俺は逃げ出したい思いで一杯だったが、そのまま消えてしまう訳にもいかず…
目立たない様に教室に入った。
直ぐに数学の授業が始まったが俺の耳には全く届かず、ぼんやりとクラスメイトを眺めていた。
皆が俺なんかいなければ良いと思っていたなんて…
何しに学校に来ているのか分からないだなんて…
俺はクラスメイトに裏切られた様な気がして、呆然としていた。
いや…
現実に陰口を叩かれ、疎まれていたんだ!!
クラスメイトの裏切りに、深い哀しみが心の奥を突き刺した。
そしてそこから、涙と憎しみが溢れてきた――
信じても信じても、皆が俺を投げ捨てる…
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