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しかし――

クラスメイトが集まって来たのは授業が始まる前までで、次の休み時間には誰1人として話し掛けてくる人はいなかった。

俺は特に気にも止めず、耳を済ませて周囲の会話を聞いていた。


「お前、どこの大学受けるんだ?」

「そろそろ志望校決めないと、本気でヤバいよね」


会話の内容は、大学受験の話だった。どうやら、もう志望校を決めなければならない様だった。


俺の通っていた高校は、県内ナンバーワンの進学校だった。毎年、有名国立大学や私立大学に、現役で数十人の合格者が出ている。


次の休み時間、1人の女子生徒が話し掛けてきた。

「ねぇ、長谷川君はどこの志望校どこにするの?」

「え…どこって」



そう…
俺は留年が確定していた為、志望校を決めるのは来年の話だった。


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