時々ビクっと痙攣でも起こしたのかと思う様に、カナが布団の中で小さくなる…


あの時のあんな想いは、もう二度と味わいたくない。

信じるから裏切られる…
信じなければ、誰からも裏切られる心配はない。

だけど…
寝言で俺の名前を呼びながら、涙を流すカナを見ていると、そんな自分が間違っているのではないかと思ってくる。



もう外を走る車のエンジン音は、殆ど聞こえない。

ふと目覚まし時計に目をやると、0時を過ぎていた…


静寂に包まれた部屋の中には、カナの寝息と耳の奥まで響く甲高い耳鳴りだけが聞こえ…

その妙に静かな時間が、また俺の記憶を呼び覚ます。



やはり、そんな簡単に深手を負った人間の考え方は変わる筈もない。

人間の心に潜む闇の部分は誰にでもあり、突然牙をむくのだ。


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