商店街に着くとアーケードがあり、傘は必要なかった。

傘を閉じて右手に持ち、道の真ん中を歩く…
左手の紙袋には、プレゼントのマフラーが入っていた。


そして商店街の端近くにあるファッションビルや、洒落た飲食店が建ち並ぶ一角に辿り着き、何気なく喫茶店を覗いた時…

窓際から1つ奥の席に座り、笑顔を見せる智香を見付けた。

正面に座り笑っているる男は、祐司――!!



俺の中で、何かがガラガラと音を立てて崩れていき、怒りとも哀しみともいえない感情が込み上げてきた。


俺は店の扉の前で、2人が出て来るのを待っていた。そして祐司の姿が見えた瞬間、思い切り殴り飛ばした!!


クリスマスイブの雑踏の中に倒れ込む祐司と、悲鳴を上げる事も出来ずに硬直する智香。

俺は込み上げてきた想いに我慢が出来ず、涙が溢れて前が見えなくなった。


.