「大樹、お前彼女に自宅の電話番号教えてなかったろ?
俺が教えておいたから、電話かかってくるかも知れないぞ」

帰り際に祐司が言った言葉を真に受け、その日から固定電話の子機を自分の部屋に持ち込み、自宅にかかってくる電話はほぼ受けた。


馬鹿だよな。
簡単なトリックだったのに、あの時の俺は気付かなかった。

わざわざ固定電話にかけてこなくても、話をするだけなら、この携帯電話にかけてくれば済む事だったんだ。




そして…
その年12月23日。クリスマスイブの前日だったという事もあり、克明に覚えている。


寝転んで発売になったばかりの週刊誌を読んでいると、不意に枕元の携帯電話が鳴り始めた。

発信元を見ると、アドレスに登録されていない見知らぬ電話番号だった。


暫く放置していたが、鳴り止まない着うたに仕方なく電話に出る事にした…


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