キュルキュルというシャワーを止める音がして、頭からフカフカのタオルを被せられた。
彼女は僕を優しく丁寧に拭きながら、ポツリと呟いた。
「柴犬…かな?」
どうやら、僕は柴犬らしい。
全身薄茶色の短毛に、仔犬なのにしっかりとした足…とも、彼女は言った。
僕はようやく自由に動ける様になったが、既に3日以上何も食べていなくて、歩く気力もなかった。
「ちょっと待ってね」
彼女はそう言うと隣の部屋に行き、白い器と冷蔵庫から牛乳パックを取り出して戻って来た。
彼女が僕の前に置いた器に牛乳を注ぎ終わると、ただ夢中で飲み続けた…
彼女を上目遣いで見ると、左側に足を崩して座り穏やかな表情で…
でも、少し悲しそうな目で僕を見詰めていた。
そして僕の頭に手を伸ばし、眉間から尻尾の方に優しく撫でた。
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