水しぶきを激しく上げながら響き渡る湿ったブレーキ音…
その瞬間、この世の終わりがきたかの様に目の前が真っ暗になり、何も分からなくなった――
次に目が覚めたのは3日後で、狭いビニールに囲まれたベッドの上だった。
意識があるのに身体は動かず、自分で自分がどうなっているのか訳が分からなかった。
記憶が混乱し、何が自分の身に起きたのか分かったのは、それから4日後…
ICUから一般病棟に移された頃だった。
それでも、自分の状態を認める事が出来るまで、更に3日必要だった…
豪雨の為に信号が見えず交差点に突っ込んで来た車に、15メートルもはね飛ばされた俺は…
頭蓋骨を始め右腕右足を骨折、それに内臓を損傷していた。
まさに、生きている事が奇跡だと…
でも奇跡が幸運とは限らない。
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