全てが幻想だった。
そんな事も分からずに毎日をただ楽しく過ごし、自分を取り巻く環境に疑問を抱く事も無かった。
でもあの日――
高校2年生の梅雨明け間近だった。
期末試験も終わり、県大会予選が始まる1週間前、いつもの様に19時過ぎまでクラブ活動をして帰宅していた時の事だ。
いつもの様に学校を出て、学校前の通りを駅へと歩いていた時…
あの日は夕方から梅雨明け間際の豪雨で、前も見えない程だった。
本当に傘を持つ手が痛い程の雨で、少し雨宿りでもすれば良かったと、今でも後悔している。
駅前の大通りを横切って駅に向かって伸びる、長い横断歩道を渡っていた時…
右側から猛スピードで走って来る銀色のワンボックスカーが見えた。
横断歩道の信号は、ハッキリと青だった――
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