目を閉じると、今でも鮮明に思い出す数々の出来事――


それまでが恵まれていただけだと言えば、確かにそうかも知れない…

それでも、何もかもが信じられず、生きていく事自体に疑問を持って過ごす日々は、やはり地獄だった。

もう二度と、あんな思いをするのはごめんだ。



何の疑いも無く他人を信じる事、明るい未来を信じて生きる事…

そんな事は愚か者が、自分自身に言い訳する為に造り出した虚構だ。

信じていた物が一瞬にして崩れ落ちた時そこに残る物は、その残骸から立ち上がる暗闇だけだ。



俺はあの日以来、他人を信じる事を止めた…

他人に対して、どんな些細な事でも期待する事を止めた。


そうすれば、どんな事があっても自分が傷付くことも、他人を恨むこともしなくていい…


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