久し振りの温もりと彼女が歩く振動が心地良く伝わり、僕はいつの間にか眠っていた。



目が覚めると…
どれ程の距離を移動したのか分からないけど、どこかの建物の外廊下を歩いていた。


彼女は濃い紺色の扉の前に立ち止まると僕を片手で抱き、腕に通してぶら下げていた鞄から鍵を取り出した。

そしてカチャカチャと鍵を開けると、扉を開けて中に入った。


どうやら、ここが彼女の自宅らしい。

彼女は僕を抱えたまま風呂場に行くと、ゆっくりと僕を下ろした。


「綺麗にしないとね!!」

そう言って僕の顔を覗き込むと、ゆっくりとシャワーから水を出し始めた。


以前僕が住んでいた家も、毎日の様に風呂に入れられていたから水には慣れている。シャンプーで洗われる事には、何の抵抗もない。

それにしても、何か懐かしい香りだ…


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