「はい、どうぞ!!」
カナは冷蔵庫から牛乳パックを取り出すと、器に注いだ。
お腹が空いていた俺は、その出された牛乳を勢いよく飲み始めた。
牛乳を飲んでいるとカナが俺の横にスッと座り、顔を覗き込んできた。
「美味しい?」
そう言ってまた、見た事もない穏やかな表情で、目を細めながら俺の頭を撫でた。
こんな表情が出来たなんて…
いや、これが本来のカナなのかも知れない。
俺と一緒に居る時はいつも殺伐とした雰囲気で、柔らかい表情なんてした事はなかった。
やはりカナは俺と――…
そう思いながら顔を見上げると、ついさっきまで笑っていたカナの目から止めどなく涙が溢れていた。
「あ、あれ…?
もう泣かないって決めてたのに、私どうしたんだろう…
あ、あれ…
変だな私……」
カナ…?
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