夢か現実か分からないが、自分の置かれている状況を把握した俺は、この部屋の中にいるしかなかった。
別に俺的にはカナの側に居ても良いが、それをカナが望んでいるとは思えなかった。
勝ち気な女で、俺とよく喧嘩早い。
何でも1人で出来て、放っておいても勝手に生きていけるタイプだ。
俺が死ぬ様な事でもあれば、さっさと見切りをつけて前に進んでいく様な女…
俺が側に居る事が足枷になる事はあっても、プラスになる事は何も無い。
――…でもそれで良い。
女なんて信じてはいないし、別に俺にとっても大して意味がない存在だ。
そうだ…
カナは病院に寄ると言っていたが、多分俺に別れを告げに行くに違いない。
それ以外に、病院に寝ているであろう俺自身に、会いに行く理由なんかない。
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