「ダイ!!
朝御飯食べてよ。私、今日は朝から講義があるからね」
ん…
あ、カナか。
「わん」
(分かった)
わん…?
何を俺は朝からくだらない事をしているんだ?
あれ?
そう言えば、どうして俺はカナのマンションに来ているんだろう…
確か雨の日に、カナのマンションに行く約束をしていて――
「ダイ、それじゃここに置いておくね」
カナは床に牛乳の入った白い器を置くと、慌てて服を着替え鞄を肩に掛けた。
一体何の冗談なんだ?
この器に入った牛乳を飲め、っていう事なのか?
「じゃあ今日は病院に寄って帰るから、少し遅くなるから」
「わ、わわん!!」
(ちょ、ちょっと待てよ!!)
わ、わわん?
な、何を言ってるんだ俺は…
何がどうなっているんだ?
どうして、犬みたいな声しか出せないんだ!!
カナは手を振りながら、俺を部屋に1人残して出て行った。
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