そしてさっきお店で買った物をビニール袋から取り出し、力を込めて栓を開けた。
プシッ
という聞いた事もない音に、僕は驚いて立ち上がった。
その様子を見て、カナは大声でケタケタと笑った。
「大丈夫よ。
缶チューハイを開けただけだから、何も襲ってきたりしないよ!!」
カナに背中を撫でられ落ち着きを取り戻した僕は、また同じ場所に座った。
この飲み物が一体何なのかは分からないが、飲むにつれカナの表情が曇っていくのが分かった。
そして3本目の栓を開けて一口飲んだ後、カナは再びポロポロと大粒の涙を溢し始めた。
「――…大樹。
もう話をする事も出来ないの?
もっと話をしておけばよかった…
もっと、話したい事があったのに。
もっと、素直になって甘えておけば良かった――…大樹」
カナは缶を床に置くと膝を抱え、その膝に顔を埋めた。
その背中が、ずっと小刻みに震えていたのを僕は見ていた…
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