早く…
早く立ち上がれ!!


パソコンが立ち上がると、俺は直ぐにメールのアイコンをダブルクリックした。

メールを送信して、カナを止めようと考えたのだ。


メールの送信画面が表示され、爪を立てながら文字を入力していく…


>カナへ
マンションにいるから、直ぐに戻ってこい。

大樹


何度か訂正しながら文章を打ち込み、カナの携帯電話に送信した――



しかし…
30秒ほどして、ベッドの方向からメールの着信音が鳴り始めた。


カナは携帯電話を、持って行かなかったんだ…

確かに、今から死のうとする人間に、携帯電話など必要である筈がない。


希望を失い項垂れる俺の脳裏に、祐司の顔が浮かんだ。

祐司が今どこに住んでいるのかも知らないし、当然どこにいるのかも聞いていない。


それでも、もう祐司しか頼れる人物はいない…


.