「父さんは頑固だし、何より私を大切に思ってくれているから、私が大学を辞める事は許さないし…
それにもしもそんな事をしたら、一生その事で自分を責め続けるに違いない。
でも、このまま在学するにしても学費がかかるし、ダイが一緒だと引っ越しをしなければならない。
引っ越しするには、敷金や礼金…それに引っ越しの費用だってかかる。
父さんがこれから入院しようっていう時に、引っ越し費用なんて頼めない…
だからといって、ダイを手放す事は出来ない。
それよりも、もっと心配なのは大樹。
もし意識が回復した時に私がいなかったら、今よりももっと深い闇の底に沈んでいくに違いない。
もしそうなったら、もう誰の声も聞こえないし、誰の手も届かない。
大樹の側を離れる訳にはいかない…」
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