カナは同じ様に疲れている筈なのに、全く休む事なく俺の夕飯の支度をし始めた。
しかし、いつもの場所に置かれた牛乳の量を目にし、背筋に悪寒が走った。
いつもより大きい器に、いつもの3倍くらいの量が入っていた。
しかも、その横には仔犬用のドッグフードまでが山盛りで置かれている――
それだけ用意すると、エアコンのスイッチを入れ換気扇を回した。
「こうしておけば、暑くはならないし換気も出来るから大丈夫よね」
そう呟きながら、カナはベッドに腰掛けた。
俺は嫌な予感がして、足がすくんでその場から動けなくなっていた。
やがて、室内にカナの嗚咽が重苦しく響いた…
足が動かない。
でも動いたからといって、仔犬の俺に何が出来るって言うんだ!!
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