炎天下を歩いて来た俺は喉がカラカラで、差し出された水を必死になって飲んだ。
喉も潤い落ち着いてきた時、ふと視線を感じて見上げた。
俺が一生懸命に水を飲んでいるところを、ずっと眺めていたらしい…
いくら今は犬とはいえ、恥ずかしくて少し横を向いた。
「大樹もね、ダイと同じ様に、よくこの席で一心不乱にジュースを飲んでた…
何かそっくりで、見ていると面白い」
そう言ってまたカナは、笑いながら泣いた。
俺の脳裏を不安が過る――
これではまるで、思い出の場所を巡っている様にしか思えない。
まさか…
いや、考え過ぎだ。
考え過ぎに違いない。
30分ほどすると、講義が終わった学生達が徐々に学食に集まり始め、カナは俺を連れて席を立った。
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