カナは俺の食事を用意した後、カーテンを3分の1くらい開けベッドの上に膝を抱えて座った。

そして、その隙間から窓の外を眺めながら呟いた。


「大樹ってね…
ここから見えるビルの灯りが好きで、よく私の事を無視してずっと眺めてた。

そりゃ淋しかったけど、そんな大樹の横顔を見るのが私は好きだった。

普段見せる事がない穏やかな表情で、とても好きだった…」


俺は何かカナが消えてしまいそうな気がして、慌ててベッドの上に飛び乗り、カナの横に座った。

カナはそんな俺の方を向き、俺の頭をゆっくりと撫でた。


「ダイ…

私が大樹を好きになったのは、しつこく口説かれたからではないの…」


え――?


口説かれたからではない?
じゃあどうして…


.