俺は2階にあるカナの部屋に連れて行かれ、そこで一晩過ごす事になった。
カナはダイニングでは笑顔を見せていたが、独りになると一点を見詰めて考え込んでいた。
カナの中での結論は、父親があの時に言った内容にはならない様だった…
そして、カナは深夜に呟いた。
「大樹の側を離れる訳にはいかない。大樹が意識を回復した時に私がいなかったら、もっと人間不信になってしまう…
でも父さんの事も心配だし、私の学費の為にこれ以上無理はさせられない。
ダイ…
あなたを見捨てる訳にもいかない。だけど、引っ越しする為の費用を考えると…
もう私には、どうすれば良いのか分からない。
どれも私には大切なもの…」
カナは隣にいた俺を強く抱き締めた――
.



