「癌…」
カナの手はテーブルの下で強く握られ、小刻みに震えている。
それでも、テーブルの上のカナの表情は明るい笑顔だった…
「大丈夫よ!!
もし癌だったら、こんなに元気な訳ないじゃない。
大丈夫よ、大丈夫!!」
一瞬3人とも言葉を失いお互いの顔を見合わせるが、直ぐに父親が笑いながら言った。
「そうだな。
カナの言う通りだ」
思いやりと信頼で強く結ばれた絆…
本来あるべき姿の家族だ。
お互いに利己的になる事もなく、お互いに支え合い慈しみ合い…
そして、認め合う家族。
しかし――
それだからこそ、予期せぬ事態が起こる事もある。
それでも人は…
ひとまずこの夜はカナの実家に泊まり、翌日新幹線でマンションに戻る事になった。
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