「あなた…」
「だが…
確かに、家族であるカナに隠そうとした事はワシが悪かった。
病気の事はワシが直接、これから説明しよう」
母親は少し考えたが、カナのマンションに来た時からの険しい表情を和らげ、穏やかなに言った。
「そうね。
私もどうかしていたわ。カナに大学を辞めろだなんて…」
父親は、訳が分からず2人のやり取りを傍観していたカナの方に向き直ると、優しい口調で話しを始めた。
「あのなカナ、実は一昨日父さんは体調が悪くて倒れたんだ。
カナも知っているとは思うが、前回の健康診断で肝臓の数値が高過ぎると言われ再検査になっている。
どうやら今回倒れたのも、それが原因らしい…
来週検査入院する事になっていて、ひょっとするとそのまま入院という事もある。
ちょうど肝臓辺りに痼があって、今回一緒に検査してもらう事にしているが、悪性だと癌という事も考えられる――」
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