俺は床に下ろされ、家族3人は奥のダイニングに集まった。

俺もカナの足元を、チョコチョコとついて行った…



長方形の茶色いダイニングテーブルの奥側に父親、母親と座り、カナは出前側に1人で座った。

張り詰めた空気の中、父親が真っ先に口を開いた。


「律子、お前病気の事をカナに話したのか?
あれ程、何があってもカナには言うなと言っただろ!!」

「で、でもあなた…
カナに話さない訳にはいかないし、それに学費の事だって」


父親と母親が、テーブルの向こう側で口論を始めた。

俺もカナも状況が分からず、ただそれを茫然と眺めていた。


「カナはこれからを生きていく人間だ。その我が子の将来を、たかだかワシの病気くらいの事で棒に振らせる訳にはいかない。

カナの学費くらいの事はなんとかする。
心配するな!!」


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