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俺はカナに抱えられ、車から降ろされた。
どうやらこの家が、カナの実家らしい…

駐車場から一度道路に出て門に回り、玄関から家の中に入った。


「カナか?
なぜお前がここにいるんだ?」

玄関先に迎えに出たのは、白髪混じりの眉毛の濃い小柄な男性だった。


「なぜって…
父さんが、帰って来いって言ったんじゃないの?」

カナがそう答えると、その反応を見て父親はカナの背後にいた母親に厳しい視線を向けた。



これは一体どういう事だ?



俺は玄関でようやく、狭いゲージから外に出してもらい思い切り背伸びをした。

その瞬間、誰かにヒョイと持ち上げられた。


「可愛い子だな。
カナが飼っているのか?」

目の前には、カナの父親の顔があった。

穏やかな表情で、優しい目をして俺を見詰める…
きっと、家族思いの良い父親なのだろう。

近くで見ると、それだけでよく分かる…


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