考えてみれば、カナは俺が知っている限り全て1人で抱え込んでいる。
地元を遠く離れての独り暮らし、しかも彼氏は相談どころか話を聞いてもくれない…
そして今も――
カナは無表情で、前を見詰めている。
その視線の先に何が映っているのだろうか?
もう隣の県に入ってから、随分走っている。そろそろ、高速道路を出ても良い頃ではないのか?
そう思っていると、車はウィンカーを出し高速道路を降りて行った。
未だに、母親と娘の間に会話は無い…
お互いに、様々な事が脳裏を過っているのだろう。
車は田園風景の中を走り、やがて山間の地方都市に入った。
道路沿いには駐車場が広いコンビニが点在し、少し先に大きいスーパーが見えてきた。
そして車は、小さな交差点で左折し…
200メートル程進んだ場所に建つ、白い壁の一軒家の前で停まった。
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