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翌日の14時過ぎ――


カナが外出先から帰宅して30分余りが過ぎた頃、不意に玄関のチャイムが鳴った。


玄関に歩いて行ったカナが扉を開くと、見知らぬ40代と思われる細身の女性が立っていた。

肩までの黒髪に大きな瞳の中に輝く黒目、それに少し厚い唇はまさにカナだ。


「母さんいらっしゃい!!
さぁ上がって」

笑顔は見せたが直ぐに伏し目がちになった母親の様子を見て、俺は何とも言えない嫌な予感がした…


「母さん、今日はどうやってここまで来たの?」

冷蔵庫からお茶を出し、コップに注ぎながら話し掛けるカナに母親は淡々と答える…

「車でね」

「ふーん。
珍しい、高速道路使っても2時間くらいかかるでしょ?」


キッチンからお茶を運んで来て、母親の前にカナが座った。


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