「あ、もしもし私…
あのね、チョット理由があって引っ越さないといけなくなったの。
それで、保証人がいるから来て欲しいんだけど…
え、明日?
午後からならいるけど?
うん。
分かった、じゃあね」
カナは受話器を置くと、笑顔で振り向いた。
「明日来てくれるって!!
良かった~
直ぐには来れない、とか言うのかと思ってた」
どうやら、引っ越す事についても犬を飼うという事についても、母親は反対しなかったらしい。
「でも――…」
カナが腕を組み、しかめっ面をして目を閉じた。
「何かいつもと様子が違った様な気も…
まぁ良いか。
明日会えば分かる事だし」
このカナが一瞬感じた違和感が、今後の出来事を左右する事になるとは、2人とも思いもしなかった。
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