僕はカナがいなくなった部屋で、最初はマットに背中を擦り付けてゴロゴロ寝転んでいた。
でもそのうち飽きてきて、狭い室内を意味もなくグルグルと何度も周り、勢いをつけてベッドの上に飛び乗った――
青い空だ。
ベッドの上からは、カーテンを開けた窓から空が見えた。
あの路地にいる時は、ずっと雨が降っていて全てがモノクロで…
そもそもビルの合間から見える空はとても小さくて、遠くて、色なんて分からなかった。
それにしても、なぜカナは昨日あんなに泣いていたんだろう…
布団の上は気持ち良くて、空を見ているうちについ眠ってしまった。
カチャ
突然室内に金属音が響き、僕は全身が縮こまる程に驚き目が覚めた。
ベッドの上から飛び下りると、耳と尻尾を立て、室内に入って来ようとする人の動向に注意した。
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