「――…ダイ…キ」
自分の名前かと思い顔を上げてベッドの上を見たが、少し違っていた様に思いまた目を閉じた。
ただ…
僕の名前がダイキという別の名前からつけられたんだという事だけは、何となく理解した。
翌朝――
まだ薄暗いうちから目が覚めた僕はマットの上に座り、カナが起きるのを待った。
しかし、ベージュ色のカーテンの向こう側が明るくなり、外を走る車の騒音や通行人の会話が時折届いても、カナが起きる気配はなかった。
いや…
正確には、目は覚めていてもベッドから下りて来ないというべきなのだろう。
「ワン…」
(ねぇ)
「ワン!!」
(ねぇってば!!)
僕の声にようやく、カナの足がベッドから下りた。そして髪を掻き上げながら、僕を見て微笑んだ。
「そうだった…
昨日からダイがいたんだったね」
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