黄金時間が過ぎるまで

「怒ってはないよ…兄キは元々、あの仕事向いてないと思うし…やりたい事があるならいいんじゃない…?」

そう言って、目をふせると口元で笑った。

だいぶ落ち着いている事に、鳴海は気づく…

「うん、ごめんね、まだ帰れないんだ…」

宗一は苦笑すると、申し訳なさそうな顔をした。

そんな兄を見て、鳴海は話しを変えた。

「…そっちは上手くいってるの?」

「まぁね、ぼちぼち役も付いてきたよ…という事で、はいプレゼント!」

いきなり鳴海の目の前に、チケットが差し出された。

「次の日曜日に公演だから、良かったら来てよ」

ニッコリと笑って手渡された。

「彼女とでも、見においで」

「…いないよ」

「またまた、静君モテるでしょうに」

宗一は里美の方を見て、相づちを求めた…が、里美はちょっと難しい顔をして、うーんと言っている。

「?んじゃ、友達とか」

「…一人で行くよ…じゃあ、がんばってね」

チケットをつかむと、保健室を出て行ってしまった。