ドメスティック・エマージェンシー

ため息が零れた。
昨日の今日で当然だが、私の答えは決まっていない。

葵が好きだ。
思っていたよりも、ずっと好きみたいだ。

だけど……憎いのだ。
どうしようもなく。

憎しみと愛情の天秤がゆらゆら揺れる。
葵がストップを掛けてくれているのに、私の憎しみはそれを納得しない。


迷宮に入り込んでしまった少女は空を仰いだ。

意外にも、空が青々としていることに驚く。
他にも太陽の光の粒子が見えたり、犬の鳴き声が近くで聞こえる気がした。
まだ冬なのに何となく温かい。

私の五感が活発に動いているのが解る。

生まれ変わった気分だった。
どこへ行けばいいのか分からない足取りのくせに、スキップがしたくなって堂々と歩いてみる。

すると、前方に見覚えのある背中を見つけた。