ドメスティック・エマージェンシー

ゼロは承諾してくれた。
早速支度を始めていると「俺……」と、暗闇に溶けそうなくらい低い声をゼロが放った。

どうしたの。
言葉には出さず、視線で語りかける。
私を見つめるゼロが、何だか寂しげに映った。

「俺、もし双子を見つけられたら……」

「……うん?」

ソッと聞く。
そのままゼロは言葉を無くした。
焦らさない、急かさない。
だから言っていいんだよ。

目で思いを伝えるが、彼は頭を振った。

「いや、ええわ。行ってら」

「……うん、行ってきます」

少し残念に思う。
今、彼はようやく私に本心を見せようとしたのに結局隠してしまった。

何を言おうとしていたのだろう、家を後にするまでずっとそれだけを考えていた。