「江里子?……ただいま」

疑心暗鬼な声が聞こえるや否や、葵の安心した表情が見れた。
そうしてクンッと匂いを嗅ぐ仕草をすると、私のいる台所に来て驚いた。

「江里子が料理作ってくれるなんて。助かるよ」

「まあちょっとだけだけどね。お風呂も湧かしてあるし、入ってくる?」

フライパンで油と共に踊らされている野菜に目を配り、葵に問いかけると、葵は意地悪に笑みを浮かべ、首を横に振った。

「一緒に入ろ」

「えっ?!ええええ!」

「嘘だよ。行ってきます」

私の反応を見て満足げに笑い、葵は脱衣所へ向かった。
私の頬は火照り、野菜炒めどころじゃなくなった。