ドメスティック・エマージェンシー

久々に入った葵の家は相変わらず整理整頓されていて私の記憶にある部屋と何ら変わらなかった。

昨日出て行ったんだっけ、と錯覚してしまうくらいに変わらない。

安心感に包み込まれソファーに座り、ぼんやりと窓の外を見つめた。

葵が帰ってくるのはいつも通り夜だろう。

突然、行くと言った私に葵は驚いていたが「すぐに仕事を切り上げるから、待ってて」と鍵の在処を教えてくれた。

葵は優しい。
私のわがままを聞いてくれる。
だから甘えてしまう。

私の親みたいな人。
知らないことを教えてくれ、安心感を与えてくれる優しい人。

きっと人は親子関係のもう取り戻せない修復をするために、恋をするのだろう。

私はあの人と[普通]の生活を歩みたい。
だから、言うのだ。

私の決めた答えを――