「なにむくれてんの」


「ほら、姫の好きなイチゴタルトだよ?」


「食べないの?じゃあ私が」


「…食べるわ!」


「吠えた吠えた」


「…瀬菜?」


「なにー?恵斗」


「姫って、プードルとかチワワ系だよね」


「そうね」


「犬は紅茶飲まないし」


「いいじゃない、可愛いんだし」


「……可愛いけど」


「…あ」


「どうしたの、恵斗」


「いい男でも見つけた?」


「…瀬菜、人を男好きみたいに言わないでよ」


「違ったの?」


「姫、瀬菜に影響されないで」


「で、どうしたのよ恋愛ハンター」


「……瀬菜の馬鹿。…もういいや。……最近見かけなかった、我が学園の王子様がいらっしゃったのよ」


「…王子様?」


「あ、姫が反応した」


「男って言葉に反応しないけど王子様には反応するのよね、姫は」


「…悪い?」


「いーえー」


「瀬菜の馬鹿」


「二人して馬鹿馬鹿ひどくない?」


「「事実を言ったまでよ」」


「…私そんな喋り方じゃないし」


「で、王子様どこ?」


「えっとね、もうちょっと前のテーブルに…」


「おいコラ、無視すんな」