アタシは見てしまった。




家の近くまで着くと

嗅いだことのある甘い匂いがした。



「……………奈…々ちゃん。」



夜でも、この匂いと可愛い声で

誰だか分かってしまう。






「久しぶりだね。


…………………………………一花。」




一花は驚いた顔をしながら

あたしに近づいてきた。



「何?」


「その男の人と遊んできたの?」


目の前に来てすぐにその質問だった。


「そうだけど?」



……………………ーーパシン。



「………ッ最っ低!」



初めて一花に殴られた。


というか一花だって

初めて人を叩いたんだと思う。



音だけで痛くはなかった。