「驚かないんだね?」
その男性はやさしそうな笑顔で、
俺の側にやって来て聞いた。
彼が手に持っていたのはどうやらスケッチブックをのようだった。
そして
俺は苦笑しながら答える。
「驚く?
だれもひとに会ったくらいで驚くことはありませんよ。
それより驚かれるのは俺のほうでしょう」
そう、
自分は人間であって人間でないのだから。
「そうかい?
でも僕はもう死んでいるんだよ?
それよりも君の存在のほうが驚くってことなのかい?」
その男性は不思議そうな顔をして聞いた。
死んでる?
目の前にいるこの男性は死んでるのか…?
ああ、だから
さっきも
そして今も
はっきりとは見えなかったのか。

