「…どこか、 寄り道でもするのかい?」 俺が時計を見ていたから、 そんな風に思ったのだろうか。 「そう…ですね」 特に寄り道しようなどとは思わなかったけれどとりあえず肯定する。 そして愛想笑い。 「じゃ、家にはちゃんと連絡しないとね、 親御さんも心配されるから」 「…わかりました」 静かに会話を終わらせ、 席から立ち上がる。 「おだいじに」 診察室を出ようとドアノブに手をかけたとき、 背後から声が聞こえた。 振り向き、それに無表情に会釈で応え、 部屋を出る。