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「お世話になりました」
施設の大きなドアのところで嬉しそうに、
母親は先生たちに挨拶する。
「オマエの部屋はそのまま、
残しているからな?」
少し離れたところで車のトランクに荷物を入れながら、
父もまた嬉しそうに言う。
何もしゃべらない俺に先生がやってきてそっと耳打ちする。
「親御さんの思いを無にしちゃいけないよ?」
そう言われ、
顔を上げる。
「……はい」
施設の外は初夏に近い日差し。
目覚めたときは
桜が散り始めていたけれど
今は葉桜へと。
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