「他にも…、そう、
人間がもつ普通の感情も基本的なものはきちんとインプットしてあるから」
インプット?
まるでアンドロイドだな。
っていうか、
その通り、か。
彼の口が開かれ、
聞かされる言葉をぼんやりと頭のどこかで受け止める。
「あとはその都度、
和彦くんが経験したことを応用して感情をコントロールしていけばいい」
晴れない表情をしている俺を見て
彼は俺が退院してゆくことに対して
不安を感じていると思ったのか、
外の世界に出ても何も心配することはない、
そんな風に。
彼はそう励ましているのだろうか。
「……一言も喋らないんだね?」
これは悪い夢だ。

