私はいたたまれなくなってベンチから立ち上がり2,3歩進み、
彼と少し距離をとる。
はああああ、
と息をつく。
静かな場所で、
ふたり、一緒に、
空にはほわんと月が浮かび、
こんなにもロマンチックなのに。
「それでもしかしたら最初に言ったことが嘘だったかもしれないと、
ヒロコに今日、聞いたら。
どうも嘘はついてないってわかったから。
…だからここに来たらわかるかと思って」
背後から中村くんが言葉を続ける。
「す、すみません…。
それは全部私が悪いんですっ!!」
私は振り向かずそのまま背を向けて謝る。
「え?」
「あのっ!
簡単に言うと好きと食べたいって意味は違いますっ!
食べたいってのはお腹を満たすために欲して食するものですっ!
好きっていうのは…その、えーと…」
少しして、
カサ、と草を踏みしめる音と共に、
彼が少しづつ私の方へ近づいてくる足音が聞こえる。

