「ケーコ先輩って欲ないですよね?」 隣に座っていた後輩が小声で話しかけてくる。 ショートヘアで丸い目が彼女の快活さを引き立てる。 いつもにぎやかに笑ってる、 そんな彼女。 「そうかな…」 「私だったらあの曲もこの曲もってどうしても欲張っちゃう。 そういうのってないんですか?」 「あー、私だって欲あるよー。 あれしたい、 これしたいって。 おいしいもの食べたい、 とか。 カッコいい彼氏欲しい、 とか 可愛い服が欲しい、 とか?」 私の答えがおかしかったのか、 彼女はくすくすと笑う。