なにも言わない私に由美子が指差し、 言った。 「ケーコは? ケーコ、なんかやりたいことある? この際だから言っといたほうがいいよ?」 うーん、 急にそんなこと言われてもなあ。 私は曲を選ぶってことよりもみんなで音楽を作り上げるっていう行為、 つまり演奏のほうがずっと好きだから。 「ううん、 みんなと演奏できたらそれでいい」 だからどの曲がいいとかそういうのってないなあ。 ただこうして楽しくみんなと一緒にいられたら、 一番いい。 今日も、 明日も、 いつも通り。 それでじゅうぶん。