呼ばれた声に立ち止まり、
その声の方を向くと。
あ、
佐々木先輩…?
そこには由美子の好きな佐々木先輩が立っていた。
「あの…?
私ですか?」
おそるおそる彼に近づき確かめるように尋ねる。
佐々木先輩はやさしい笑顔でうなずく。
一体、
私に何の用だろう?
「あのさ、キミ?
山本と仲いいよね?」
山本?
ああ、由美子…。
「あ…、えっと。
はい」
これは…。
もしかして由美子にいい話とか?
由美子のことだというのに、
なんだか私のほうがどきどきしてきた。
「ちょっと、…教えて欲しいんだけど。
…最近、彼女、
変わったこととかない?」
変わったこと…?
んー…、別にないけど。
あ。
違う。
私は体育の授業のとき、
それからさっき食堂で3人一緒だったとき。
なんとなく佐々木先輩の話をする彼女の表情が、
寂しそうに感じたことを思い出した。
そして、
こうして先輩まで出てくるってことは…
やっぱり佐々木先輩のことでなにかあったのかな。

