若すぎた結婚が破局したのは、相手がヤンキーで予備軍であった事、その親元は息子可愛さに江梨に最後は冷たくあたった別れであった事。

借金を被り苦労して、結婚相手の浮気相手にも苦労はさせられた。

それでも江梨は子供が可愛かった。

子供の為なら汚名でもなんでもかぶった。

幸せ薄い人生で、やっとヒロにめぐりあい愛し合う幸せを知った。

そのめぐりあいはどんな不幸せも、その時の幸せの為にあったと思える程素晴らしい日々だった。

愛してくれた。
愛した。

どれだけお金を積んでも買えない幸せが、あの夏に訪れた。

ヒロが連れてきた。

悲しい事もあったけれど、あれを越える幸せは二度とない。

深く深く愛し合い、守り続け、戦い続けた愛がそこにある。

ケイと言う二人の愛の形見と暮らしながらも、江梨の心は今でもヒロと過ごしたあの部屋にあるのだ。

死ぬまで忘れられないだろう。

それは苦しみと背中あわせの大きさの幸せなのだ。