心をごまかしていてもラジオやテレビから槇原君の歌が流れる度、辛くて聞けなかった。

悲しみを乗り越える為にカラオケボックスに時に一人で行き、思い出の歌達や岡本真夜の【ALONE】を涙が出なくなるまで歌って帰り他では泣かないようにした。

二年無我夢中で来たが、傷口が開いたのだ。

訓練校では江梨より年上の独身女性が、やはりひとまわり下の男性と恋愛して妊娠を隠して通っていた。

男性の親も自分の親も納得しているという事で、江梨は幸せそうな彼女のノロケ話と、膨らんでゆくお腹を見ながら登校している間辛かった。

うらやましかった。

江梨のどんな頑張りも母親に認められる事はなく、母に罵倒される事で、江梨は心身症が次々に現れ喘息も酷くなった上に、母に潰されてカウンセリングを受けて治療していた。

母が罵倒する度過呼吸や頻性不整脈の発作に苦しんだ。