江梨は悩んで自分を責めてしまいには全く眠れなくなり、初めてカウンセリングを経験した。

本で調べた名医は、倉庫整理のように江梨の心を楽にしてくれた。

『仕事とは言え、アダルトな会話もしたりして私は汚れています。

プライバシーも隠しています。

名前や年齢も変えています。

人を騙している事に耐えられないんです。』

と、泣く江梨に、

「君は天使です。

疲れた人達の心に夢を与え、癒してあげているんです。

良い事をしているんですよ。

現実から逃れたい人達に、現実は要らない。

君の存在で皆頑張れるのです。

名前や年齢やプロフィールなんて変えて当然の世界なんだから、あなたは何も悪くありませんよ」

そう言って貰えた時にどんなにか心が救われた。



ストーカーにもあった。

仕事柄一室のマンションにたくさんの電話回線が引かれている。

1室で16回線と言う事で、そこに目をつけた電話会社の職員がリスナーに紛れていて、江梨の勤務時間交代時に張り込んで知らぬ間に尾行されていた。

そうと知らずに、いちリスナーだと気を許して親しくなり、一度ドライブに行って真夜中の埠頭でその人が眠ってしまいそっと開けたダッシュボードにあった紙を見て江梨は愕然とした。

そこには江梨の情報がびっしり書かれていた。

体が震えた。

そして悲しかった。