この人の肌に吸い寄せられるような。


不思議な感覚。


だから、視線をそらしたのは一瞬。


もう一度、男の顔を見ると。


ゆっくりと瞳を伏せた。


お互いの体温が、優しく交じり合う。


唇が触れ合った。


焼けつくような熱さの舌が。


極寒の中で凍りついた唇に微かに触れる。


---ん!?


夢って、体温を感じるもの?


ピクリと眉がゆがむ。


上下の服の隙を縫うように、男の手がそっと氷のような肌に触れた。


…これって、夢じゃない!!!


パッと目が覚めるかのように。


私の意識が覚醒した。


「ストップ!!!」


絶叫に近い大きな声と一緒に、縛られた両手を振り上げると、力いっぱい左右に振り回した。


バキッともの凄い音がして。


ジンジンと痛みにも似た感覚が手に感じる。